CE Linux Forumテクニカルジャンボリー#28

レポートが遅くなりましたが、CE Linux Forumテクニカルジャンボリー#28に参加したときのポイントのまとめです。
(詳細なレポートは、elinux-wikiのページに、私とfujimuraさんで作ったメモが掲載されています。)

  • カーネル2.6.30で、日本製セキュリティ拡張「TOMOYO Linux」がLinuxメインラインにマージされた。セキュリティ制御が簡単にできる点も特徴だが、TOMOYOは、システムトレーサとしても非常に有効。(もともと、トレーサとして開発が始まったプロジェクトらしい。)TOMOYOのトレーサ機能をONにして、一通りのテストを走らせれば、ポリシーファイルに、プロセス動作・ファイルアクセスの履歴が詳細に吐き出される。今回のAndroidTOMOYOを入れてセキュリティ制御するデモでも、トレーサとしての機能が、Android動作を把握する上で、非常に有効そうだった。
  • Gitの分散管理は、今後の大規模プロジェクトソース管理においては、有効な選択の要素になりそう。
  • Debianのbuilddプロセスの仕組みが勉強になった。非常に多くのアーキテクチャを同じバージョンでリリースし続けている、脅威のスケーラビリティは、この仕組みで実現されている。我々の開発でも、様々な機種展開、仕向け地対応などの展開で苦労しているが、こういったビルドプロセスは、開発の効率化を進める上で参考になる。
  • @ITの「Linux Kernel Watch」でおなじみの小崎さんのカーネル最新動向では、組み込み開発で関心の高そうなトピックを選んで持ってきてくれた。以下、私が気になった項目を簡単に紹介します。
    • Compcache
      • RAMの一部を圧縮領域として、SWAPに見せかける。使ってないプロセスは圧縮してメモリを空けるほうが、システム全体としてはRAMの利用効率が良くなる。高負荷時でも、性能低下が少なくなるというテスト結果も。
    • VFS based Union mount
    • カーネル圧縮の改善(Support LZMA/BZIP2)
      • LZMAは、gzipより30%ほど圧縮率が高い。圧縮時に時間がかかるが、展開はgzipより速い。ユーザーにはメリットしかない。カーネルの起動時間は、圧縮済みカーネルイメージの転送と、圧縮の展開がほとんどを占める。ここに有利に作用するLZMAは、起動高速化に有利に働くだろう。