AgileJapan2010:DAY1-キーノートセッション「現場からの知識創造」

野中先生のキーノート「実践知のリーダーシップ」のメモ。
あとで、本の内容と照らし合わせながら考えをまとめてみたい。

知識創造論

ソフトウェア開発とはかなり親近性があるのでは。

知識社会(ナレッジソサイエティ)
  • ドラッカー
  • 知識は今日唯一の意義ある資源である。
  • 知識をどう体系化するかが課題
イノベーション=ナレッジ・クリエイション・プロセス
  • イノベーションはSECIスパイラル
    • 経験を通じて現実に。
    • SECIの高速回転で経験に価値化し、知を内面化(血肉化)する。
  • Agileは創造性を共振させる。
SECIプロセスを効果的にまわしていくキーになるのが、「リーダーシップ」
  • 知の流れを作る。
  • これを支援しているリーダーには、ある共通項がある。
  • プロネシス
    • アリストテレスの提唱した概念。
    • 賢慮(Prudence)、実践的知恵(Practical Wisdom)
    • 実践知
      • その時々に最適な判断ができる実践知
      • 関係性を読みながら判断する。
      • disition→judgement
      • 局所的な知ではなく、関係性をみて判断する知
      • context, timely balance
実践知リーダーシップの6能力
  • 「善い」目的を作る能力(ビジョン)
  • 場をタイムリーに作る能力
  • ありのままの現実を直感する能力
  • 直観の本質を観念に変換する能力
  • 概念を実現する能力
  • 実践知を組織化する能力

本質は見えない。考えて、見えるようにする能力。

「善い」目的を作る能力(ビジョン)
  • 目的
    • 幸福であるとか、自己実現。それ自体が絶えず、目的である。
    • エクセレンスの追求、それ自体はよいことである。
    • 金銭はいつも手段である。
  • 知識ビジョン(企業の目的)
    • (例)IBM: Smarter Planet
場をタイムリーに作る
  • 場を「Ba」と書くと、「直感的にわかる!」といわれる。
  • Inter subjectibity
    • 人それぞれの主観が主観であるうちはよいチームは作れない。
    • より大きな主観にしながら、広げていく。
    • 相互主観性を創る。
      • これが、最も創造的な状態
  • 場こそが、知識創造を促進する。
    • 組織とは場である。
    • 環境は、個人に内面化されている。
    • プロジェクトチームは、自由と規律が交じり合う。
  • ホンダのワイガヤ
    • LPL(Large PL)主導。
    • 各部署(それぞれの場)を内面化している。
    • 三日三晩、わいわいがやがやすることで、お互いの主観を共有し、もっと大きな主観を創ることができる。
    • プロジェクトを作って、まず最初にやっている。
相互主観性の発達過程
  • 「意識の3段階」
    • 母と子は、意識を共有している。
      • 母が笑えば、子は笑う。
    • 自我が生まれると、相手を対象にする。
    • 相互の主観を認識して、相互の主観を作れる。

これをいかに作るかが知的創造の課題。こういう状態は、アジリティな状態。

相互主観性の基盤は間身体性

知を創発させる場の要件
  • スクラムアプローチ
  • リーダーの育成は徒弟しかない。
    • 手本になる人と共体験しないと育たない。
    • 手本から学び、自分の知見を加えて、広げていくしかない。
    • ソフトウェアは優れた暗黙知を持っている。
    • ソフトウェアのアーキテクチャは、暗黙知
    • 善い手本と仕事をする、そういう場を作る。
    • 皆さん自身が手本になり、伝承していくしかない。