AgileJapan2010レポート

4/9〜4/10に、「Agile Japan 2010」が開催されました。

twitterハッシュタグ「#aj10」で検索すると、参加者による1,300以上のtweetを読むことができ、このイベントの凄さはすぐに感じ取ってもらえると思います。

 Day 1 → http://togetter.com/li/13457
 野中先生@アジャイルジャパン → http://togetter.com/li/13410
 Day 2 午前の部 → http://togetter.com/li/13577
 Day 2 午後の部 → http://togetter.com/li/13624
 冷め止まぬ熱  → http://togetter.com/li/13779

開催から一週間が経とうとしていますが、まだ「#aj10」タグを見返しては、その余韻に浸り、得たものを頭の中で整理するのと、これから我々が取り組むこと、発信していかなければならないことをずっと考えてます。


ビジネスとそこに関わる人(開発者、マネージャ、顧客)が一同に集まり、一緒に学び、考え、体験できる場。
この「場」を参加者と全員で作り上げるのがアジャイルジャパンです。
今回は、そういった狙いと効果が、確実に見えるイベントになっていたと思います。

ねらいと効果

私は昨年に引き続き、実行委員として、イベントの企画段階から参加させていただきました。

事例を中心にコンテンツを組み立てて企業参加者に呼びかけ、ワークショップで体験して現場に持ち帰ってもらう。上司や同僚との参加で割引にするという工夫、稟議を通してきてもらうために、有料にして良質なコンテンツをそろえる。実行委員はスーツ、ビジネスカジュアルを基本にするなど、かなり「ビジネス」を意識したイベント作りをしています。会場を提供いただいた日本IBM様のご協力も大きく、今年はより効果的に機能していました。

このAgileJapanの狙いに、これ以上ないぐらいに充実したコンテンツが揃いました。
まず、何といっても、野中先生のお話を直接聴くことができたことが大きいです。
アジャイルも含め、あらゆるものづくりや組織活動の考え方の根底である、『知識』の認識と創発と伝承のプロセス、そして「場」の重要性を改めて整理する機会になりました。
楽天DeNAなど、日本のWebサービスをリードする企業のアジャイルに対する取り組み紹介もありました。さらに、ソフトウェア業界以外の事例、特に、県庁の事例は凄い反響だったようです。こうした幅広い事例に触れることで、あらゆる現場での工夫を知り、アジャイルの可能性が広がったはずです。自分の現場でもやってみようという実感が得られたと思います。

その場で体験して自分の現場に持ち帰ることができるワークショップも充実していました。

まさに、実行委員全員で絞り出したテーマである、
「体験しよう!考えよう!行動しよう!」「日本のアジャイルはここにある!」
のイメージを描ききることができました。

参加者・講演者全体で、同期するメッセージ

昨年のAgileJapanでも感じたことですが、イベントの最初から最後まで参加してあとで振り返ってみると、講演者が伝えているメッセージが同期していくという状況を目の当たりにします。この現象は、キーノートの話の印象が強くて引きずられているだけかも知れないし、日本のアジャイルを牽引する人達の問題意識がある程度共通していることの表れかもしれない。ただはっきりしているのは、このメッセージはいま考えるべきことなのだろう。このメッセージは参加者にも伝わり、現場に伝搬していきます。業界を善くするためのきっかけが、AgileJapanで得られることになります。

昨年は「考える」というメッセージでした。
アジャイルは開発者視点では、良いものに見える。しかし、現場や顧客に伝わらないという課題意識を、先駆者達は「考える」ことでクリアしてきた。それが伝わったからこそ、参加者も「考える」ことを始めた。

今回は、「暗黙知と場」「ポストアジャイル」というメッセージが、複数のセッションで共通して語られていました。
"企業の唯一の資源は暗黙知である。形式知化して広げ、新しい知を創造し、暗黙知を作っていく。リーダーに必要なのは、このプロセスを回す「場(Ba)」を作ることが重要である。(野中先生の話の超抜粋)"この話を、私を含めた各セッションの講演者が、自分の話とすり合わせながら、確認するかのように、何度も引用していたのが印象的でした。
「ポスト・アジャイル」も、最初のフェイズとしてのアジャイルを経験した人達が課題を整理し、次のビジョンを言葉にして語り始めた、重要なキーワードのように感じました。

これらの共通のメッセージを受け取った参加者が、現場に伝えていく。
それで新しい改善のアイデアが生まれ、来年のAgileJapanで次のメッセージをつないでいく。
AgileJapanという「場」を通して、こんなサイクルが見えてくるような気がしています。

参考リンク集

本エントリに関係のある物、見つけた記事やブログで特に印象に残ったものを貼っておきます。
ご参考に。

AgileJapan公式サイト
参考

去年のレポートなど。