洗脳
- 作者: 苫米地英人
- 出版社/メーカー: 三才ブックス
- 発売日: 2008/06/06
- メディア: 単行本
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タイトルの通り「洗脳」のメカニズムを軸に話が展開する。
仮想的なカルト団体(スピリチュアル系)を仮定して、いかに信者を集め、洗脳し、そしていかにお金に結びつけるかを、わかりやすくそして具体的に説明している。これがほんとバカなぐらい簡単そうに書かれているのだが、今も信じられないようなカルトに人々が引き込まれていて、忘れた頃にいろんな事件を起こしてる現実を見れば、こうしたテクニックの恐ろしさを感じずにはいられない。
言葉や見せ方は代わっているものの、テレビで「スピリチュアル」みたいな胡散臭いのが平気で放送されている現実をみると、こうしたテーマを考えさせられる。
なぜ、「霊」のような想像の産物に何かを求めるのか。
たとえば日本であれば、文化的に神学まじりの仏教で倫理観が形成されていたり、庶民宗教が広く人々のよりどころになっていたりと、根拠無く前世とかを受け入れてしまうのだろう。
霊は、文化的な幻覚です。 (p24)
教育とか文化的な土壌が「霊」のような幻覚を生み出してしまう。
その人自身がその人の中の世界で勝手に納得してしまうので非常にたちが悪い。
そして、霊みたいなものに寄り縋り、カルトにはまることで、人に「考える」ことをやめさせてしまうので、ある意味「楽」なのではないだろうか。自分で決めなくても良いのだから。
洗脳されていない状態というのは、完全に自由です。よりどころは自分です。自分で決め、自分で考え、自分で判断する。全てを疑うということではありません。疑うということは、その前提知識が必要となりますから、それ自体が洗脳されている可能性があります。洗脳されていない状態は、それすらからも解放されています。 (p214)
こんな良くまとまった文もあり、わかりやすくて面白かったのだが、
実はこの本自体がかなり胡散臭い。
所々、不可解な論理展開も散見される。
メタ・カルトというべきか、下手に読むと新しいカルト思想に導かれるんじゃないかという危険性すら感じる。
そうした点も含め、こうした本は客観視して読むと面白いのだろう。