ATTiny85と58曲メロディICを使った小型メロディボックスの製作

一つ前の記事で、小型58曲メロディICをArduinoで制御する方法をまとめました。先にArduinoで方式を確立し、いよいよATTiny85を使って小型・省電力・低コストなメロディボックスの製作に移ります。

出来上がったのはこちら。

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58曲内蔵小型メロディボックス

左下のボリューム型可変抵抗を回すと、選曲番号(0~57番の58曲)が7セグメントLEDに表示されます。再生したい曲を選んで、青色の再生ボタンで再生します。

 

ボタン電池で駆動し、手軽に持ち運んでその場にあった曲をいつでも再生することができる、小型電子オルゴールです。

こんなふうに動きます。 


ATTiny85と58曲メロディICを使った小型メロディボックスの製作

 

メインマイコンが130円、メロディICが150円で、周辺デバイスとあわせても500円ぐらいで、(製作工数を無視すれば・・。)低コストなのも魅力です。

 

基本的な設計・要素開発は前の記事で書いたArduino版で確立させたため、この記事ではATTiny85対応と機構設計・実装についてまとめます。

 

目次

 

 

超小型58曲メロディIC「M8058S」の制御

基本的な設計・要素開発は前の記事で書いたArduino版にまとめています。

ATTiny85にあわせて作った回路図・ソースコードは、githubにて公開しています。

github.com

 

Arduino版にてすでにATTiny85対応を見越して5ピンでの制御を行っていたため、ピンアサインを変えただけで対応できます。Arduino版との比較表はこちら。

機能割り振り ピンアサイ
Arduino ATTiny85版
メロディIC(M8058S)へのコマンド送信用 D2 D0
7セグメントLED制御用(LATCH) D3 D1
7セグメントLED制御用(RCLK) D4 D3
7セグメントLED制御用(SER) D5 D4
入力状態判定用アナログ入力 A0 A1

 

 

ソースコードも、同じArduino IDEで開発ができるため、ターゲットをATTiny85にすれば書き込みが可能です。Arduino開発環境を使ってATTiny85に書き込むための手順は、こちらの記事を参考にしてください。

mnishikawa.hatenablog.com

 

今回、小型化のためにボタン電池駆動になるため、省電力にするためにATTiny85の内部クロックは8MHzで書き込んでいます。

 

ブレッドボードでの動作確認

まずは、ブレッドボードで動作確認を行います。

マイコンへのピンアサイン以外はArduino版と同じになりますので、Arduinoを抜き取ってATTiny85を差し込み、マイコン周りの配線を変えただけのものになります。

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Arduino版からATTiny85への差し替え

ここで、コイン電池CR2032で動作することも確認しておきます。

結果、もともと直流安定化電源で電源供給し、ダイナミックスピーカーでいい音を出していたのですが、コイン電池の電流不足かメロディICの駆動が不安定になるようです。スピーカーを小型の圧電スピーカーに変えると音質は悪くなりますが、安定して動くようになったので、スピーカーを変更しています。

最終的な回路図はこちら。

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58曲メロディボックスATTiny85版

 

機構設計・実装

動作の確認が取れたので小型ケース・基板に実装していきます。 

今回の部品を並べてみたところ。

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小型58曲メロディボックスの部品

まずは、操作パネルとなる上のフタの加工です。

最初に、部品を並べてみて、穴を開けるところを決めます。

ケースは、秋月電子で売ってる50円の小型ケースを使ってます。

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ケースへの部品取り付け検討

取り付け場所にサインペンで印をつけて、ピンバイスなどで1mmの穴を空けていきます。はんだ付けした配線を通す穴は、1.5mm~1.8mmぐらいの穴にしておくと良いでしょう。

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ボタンの取り付け

ケースの下面につける部品もテープで仮止めしておき、上部と干渉しないように位置決めを行っていきます。過去の記事でも記載しましたが、スイッチ類は先にケーブルをはんだ付けしておいて、その後穴に通すと良いでしょう。

今回、スイッチ入力とボリューム型可変抵抗はまとめて1つのアナログ入力にまとまるため、フタ部分に小型の別基盤として実装しました。これを、マイコンやメロディICなどメイン部品のある下の基板とコネクタで接続します。

一通り実装が終わったのがこちら。

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58曲メロディボックスATTiny85版の基板実装

蓋側の基板の裏側はこんな感じ。

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58曲メロディボックスATTiny85版の基板実装

メイン基板の裏側。

ほとんどが7セグLED用ですが、配線多すぎたので、もう少しICの配置を考えたい・・。

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メイン基板の裏側

ほぼ自分のメモ用ですが、蓋側基板とメイン基板のコネクタ配線はこちら。

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コネクタピンアサイ

 

というわけで完成したのがこちら。

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58曲メロディボックスATTiny85版の完成

 

 

まとめ

58曲再生できるメロディICを単純に制御するということで、ATTiny85を使って小型化にチャレンジしました。限られた制御ピンで多数のスイッチ入力、ボリューム入力の検討をしたり、7セグメントLEDの制御を最適化したりして、これから作るものにも活かせそうなノウハウをためることができました。

 

 

部品リスト

最後に、今回の作品を作るのに使った主要な部材をまとめておきます。

  •  ATTiny85

 

  • 58曲メロディIC・M8058S

www.aitendo.com

 

  • 小型7セグメントLED2桁表示・アノードコモン

akizukidenshi.com

 

  

  • 圧電スピーカー

akizukidenshi.com

 

 

  • ボリューム型可変抵抗(10kΩ) 

 

 

 

 

  •  抵抗

 

 

 

  • スイッチ 

 

 

  • 小型スチロールケース

akizukidenshi.com

 

  • ユニバーサル基板