ナポレオン狂

ナポレオン狂 (講談社文庫)

ナポレオン狂 (講談社文庫)

いろんな意味でゾクッとする、凄い短編集。
「ナポレオン狂」の一行目、『狂気と正常とは、ある明確な一線を境にしてキッカリと左右に峻別されるものではあるまい。』からすでに引き込まれる感がある。で、結末を読んだ後は背筋が寒くなる。そういうお話もあれば、「恋は思案の外」なんかテンポよくてすごく楽しいし、「サン・ジェルマン伯爵考」は宗教倫理感をやんわりと不思議なストーリー仕立てにしてて感動的。「ゴルフ事始め」はバカっぽくて面白い。1冊で、料理のフルコース(デザート付き)を楽しんだ気分になれます。