理系白書 この国を静かに支える人たち

理系白書 この国を静かに支える人たち (講談社文庫)

理系白書 この国を静かに支える人たち (講談社文庫)


全体を通して、日本を支えてるのは、この本で言うところの「理系」の人たちで、そういった人たちを活かすような社会の仕組み・考え方が必要になってくるみたいなことが感じられる。もちろん、「理系」「文系」の分け方自体あいまいだから、この本では極端な理系(研究室にいる人たち)を中心にレポートしてる。
確かに、日本には優秀な研究者も多いけど、それを活かす制度・仕組みとかを作るのは、わかってない文系な人たち。優秀な技術・人を育てるというのは、評価する人を育てることも重要なのだと。訴えは納得だけど、この本の事例だけでは、そういった理系の可能性をちゃんと語れているかはちょっと疑問だ。

数々の理系の偉業や、世界で活躍する理系のエピソードやインタビューが多数紹介されてて、中には「かっこい〜!!」と思うものがたくさんあった。こういった事例がもっと認知され、世間の意識を変えていくことが必要だと思います。

「理系」に反応して買った。
僕も学歴・職歴からみると理系です。だけど、基礎科学・理論を武器に、実際のものに作り上げることを生業にしてるエンジニアだ。物事を実現するために必要なことは、専門分野からの論理的なアプローチだけでなく、文学,社会・自然科学から学べるものは積極的に利用する。大学の研究室は合わないと思ってたし、研究者達とは違うタイプと思ってる。
そういうタイプの人は、ネガティブな部分の印象が強く残ってしまい、多少、偏見を受けてるような感じがして、ムッとする部分も多いと思う。「理系」をタイトルにするんだったら、エンジニアにももっとスポット当ててほしかったなぁ。

一貫して、理系以外の人に理系活用の重要性や課題を訴えるような内容だが、文庫版の最後のまとめに、「じつは、理系人も変わらなければならない」と記されている。これが本質なのかもしれない。