シェイクスピアを楽しむために

人殺しいろいろ。
・・・・シェイクスピア1564年に生まれて1616年に亡くなったそうです。覚えやすいですね〜。

その冒頭で始まるように、本当にたくさんの人がバタバタ死んでいくのが、シェイクスピアの悲劇です。すべては、観客を楽しませるために。天才・シェイクスピアはありとあらゆるテクニックが駆使されています。実際、すごく面白そう。

シェイクスピアを楽しむために (新潮文庫)

シェイクスピアを楽しむために (新潮文庫)

阿刀田高の『シェイクスピアを楽しむために』は、そんなシェイクスピアの代表作11作のあらすじと、その演出のすばらしさをまさに劇的に感じさせてくれる本。

ハムレット
ロミオとジュリエット
・オセロー
・夏の夜の夢
ベニスの商人
ジュリアス・シーザー
・ヘンリー四世
ウィンザーの陽気な女房たち
・リチャード三世
マクベス
リア王

こうやって並べてみるとすごいなぁ。
演劇という形ではほとんど見ることができないけど、今の映画とかドラマの脚本の原点で、現在でもインスパイアされた作品を数多くみることができる。

全作品を通して大衆を楽しむために、ありとあらゆるテクニック(演出)がちりばめられている。キャラクタの作り方、次々と切り替わる情景、急な展開さえも納得させる名セリフ。何より、脚本の中の原文がすばらしいそうだ。
ハムレット>の有名な一言。
「To be, or not to be, that is the question.」
シンプルで、その状況からいろんなことを想像させる深いセリフです。
この美しい英語記述を訳す人も相当な苦労をされてるとか。原文も是非読んでみたいな。(英語が楽しく読めるようになれば。。)

阿刀田さんの解説シリーズなわけですが、このシェイクスピアは特にテンポが良く、文章が踊っているのが印象的。読んでて、すごく楽しかったです!もちろん、不可解な情景描写とか、時間的矛盾などの厳しい指摘はあるけど、それを補って余りある美しくも大胆な演出をべた褒め。最後の章で、トルストイによる、痛烈なシェイクスピア批判を挙げて、本の内容にさらに厚みを持たせている。

たぶん、どれも一度は触れた機会があると思うシェイクスピア作品ですが、一度、オリジナルはどんな感じなのかは知っておくと楽しいはず。おススメの一冊。