インターネットの法と慣習

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「法」という観点でインターネットの社会形成を分析し、今後の流れを考える本。

ただの法律について書かれたものでもないし、無秩序なインターネットを批判するものではない。話がすすめられるステージとして、新しい世界たるインターネットを題材にしている。いわゆる「慣習」から成り立つ、共通の価値を守る上での「法」について考えるものである。

先ずは、判例主義である米・英法のなりたちの説明がなされる。どういった経緯でこのような「法」が成り立ったのか。ストーリーで追えば、自然と理解できる。法の根っこを知ることから、経済活動を含めたやんわりと社会形成を学べる。
インターネットも、まだ形を成してないが、慣習から発展する法の形成は自然な流れとして行われようとしている。ただし、その議論の中心となる共通価値が見つかれば、である。
筆者は、明確な共通価値として「名」をあげている。その手段については結論に至らないが、一つの方向性であることは確かだ。

ちなみにこの本、Hot Wired Japanで連載されていた、同タイトルの記事を本に再編集したものです。
 http://hotwired.goo.ne.jp/original/shirata/index.html

Hot Wiredの連載はいつも読んでましたが、本になると一気にまとまった感じがします。(けっこう書き換えられてるんじゃないかな?)

文章も軽快で、全体を通してすごくわかりやすかったです。
「法」とは何かというお話も、硬くなく、自然に頭に入ってきます。


インターネットにおける、新しい社会形成において、次のステップを考えるちょっとしたきっかけを与えてくれる本でした。