なぜ勉強するのか?
「なぜ勉強するのか?」という単純な問いに対して、インタビュー形式でじっくり語られる本。論調はすごくやわらかいけど、主張はシンプルではっきりしてて力強い。方向が明確で、ポイントが絞れてる。
タイトルの問いに関して、明確に答えられない人はもちろん、すでに答えを持っている人にも面白い本だと思います。
- 作者: 鈴木光司
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2006/12/16
- メディア: 新書
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まず、勉強で身につく力とは何か。
- 理解力
- 想像力
- 表現力
この3つの能力は、すべてに通じる能力であり、リテラシー能力と定義する。
すべての「勉強」は、リテラシー能力に結びつく。非常にわかりやすく、勉強の効果の説明としてはわかりやすい。
リテラシー能力を磨くという観点で、勉強の内容を考えると、その課題や、改善点がみえてくる。たとえば、最も重要な国語力については、このリテラシー習得に反する。
無難で体裁よく整った文、要するにお利口さんの文章を”よい文”とみなし、評価する
というのは、日本の作文教育が目的を見失っている一例。当たり障りの無い文ではなくて、自分の意見を表現するための技術を養うために、教育では、その力を引き出すための”添削”が必要である。
他の分野の学問についても、リテラシー能力を基本に考えると、やるべきことがはっきりと見えてくる。
中盤では、日本文化の教育に対する考え方の問題点を論じ、「世界に通用する論理」とは何かを論じている。その中でも特に、親を含めた教育する立場の人が、決して言ってはならない言葉と、その理由は明快だ。
「世の中は競争社会だから」
本当は競争ではなく、協力のほうが生き延びるケースが多い。世の中は、「99%の協力、1%の競争」で進化している。
「昔は良かった」も禁句。
人は、世の中をより住みよい世界にするために、進化を続けてきたのである。局所的にみて、懐古している場合ではない。より良い世の中にするためには、前に進むしかないのである。
やわらかい文章なのですが、ハッキリと懐古主義を否定し、未来への視点切り替えの大切さを強調している。勉強のモチベーションは、いかに明るい未来を描けるかで決まるからである。
何故勉強するのか。
未来の為に勉強するのである。