情報のさばき方

情報のさばき方―新聞記者の実戦ヒント (朝日新書)

情報のさばき方―新聞記者の実戦ヒント (朝日新書)

つい最近まで、最も権威あるメディアとしてその地位を守ってきた新聞。その新聞社にあって客観的で、スピーディに、なおかつ正確な情報を発信し続けてきたベテラン新聞記者が、武器にしてきた実戦的ノウハウをぎゅーーっと押し込めたのがこの本。
新聞というと、これから取り残されそうな旧世代メディアの代表格であるが、ベテラン新聞記者が、いかに情報を引き出し、まとめあげるかということを追求して身につけてきた能力は、想像していたよりもずっとすごい。今でこそ、重要な考え方がたくさんあった。

 1章 情報をつかむ
 2章 情報をよむ
 3章 情報を伝える

大きく、3ステップでまとめられる。
情報の量や質がかわっても、このフローは普遍なだけに、誰でも違和感なく入ってくる。

ちなみに、この本の言う「さばく」は、単なるフィルタリングではない。「自分のものにする」ことを指す。

情報をつかむ

まず、情報をつかむことに関しては、次の一言に集約される。

 情報力の基礎は「インデックス情報」

メモの取り方(PCでも、紙も同じ)にしても、なんにしても、量だけ揃っても使えない。
そこに何が含まれるか、どうすれば、必要なことが引き出せるかという、インデックス情報がすべて。このインデックスをいかに整理、習得するかがポイントである。この本質は、IT社会でも変わらない。
インデックス情報をつかむには、理解・要約の力、真偽の見極め方になる。情報の本質を読む、情報の裏を取るという考え方は大切にしたい。

情報をよむ

「情報をよむ」では、数ある情報の分析方法を具体的に述べている。
米政府の公式文書でよく使われるという、「pro」と「con」による分析、「オプション」という考え方は、いまだに基本なので、是非知っておきたい。

情報を伝える

文書の種類によって、

  • わかりやすさ
  • 正確さ
  • 美しさ

をバランスさせること。シンプルに見えるが、このバランスを意識することで、情報は伝わるのである。文書も、実は設計が大切なのかもしれない。

これが無謀なことかどうかはあまり考えたこともないんだけど、

できるだけ遮断せずに、多くの情報に触れるようにしています。もちろん、情報をトリガに行われる各種タスクの対応能力や、コミュニケーションのクオリティは落とさずに。

RSSリーダとか、ソーシャルブックマーク、その他諸々のツール使って、飛躍的に情報処理能力が上がった。ほしい情報をすばやくつかんで、深堀するという事に関しては桁違いのスピードになったと思う。たしかに、たくさんの情報を得ている。でも、情報に対する接し方というか、質が変わってしまったように思う。たとえるなら、「読む」ではなく、「見る」感覚である。情報の二次的利用の量は、確かに伸びているものの、入ってくる情報量に対しては、それほど伸ばせていない。

理解力というか、自分のモノにするということを、革新的に伸ばす方法が見つかるまでは、この本に書いてあるようなノウハウは、まだまだものすごく強力で、役に立つ。