少数精鋭の組織論

少数精鋭の組織論 (幻冬舎新書)

少数精鋭の組織論 (幻冬舎新書)

12年間フランスの一流レストランを渡り歩き、1985年から「コート・ドール」のオーナーシェフとして、今も現場の最前線に立つ著者の仕事論。

顧客との距離が近く、おもてなしの精神がもっとも試される料理の世界。
小規模な組織だからこそ活きる、若手の育成方法や、組織の作り方がギュッとまとめられた本です。

現場の最前線で30年以上生き抜いてきた筆者の言葉は、やわらかい言い回しの中にも力強さを感じる。基本をしっかりと抑えること。地道に、堅実にやっている人の「強さ」をいろんな角度から読み取ることができる。
技術者はどうあるべきか、ビジネス観点でも学ぶところが多い。
 

行間、切り捨てられることにこそ本質があることが多い。

よく聞く話ではあるが、本書は何度も登場する。

 「昨日のことを考えてきている」と思える言動に出会うのです。

若手との会話から筆者が紹介した一文だが、言葉の一つ一つを注意深く受け止めないと、見逃しがちなことだろう。特に、大組織ではこういった実感が難しい。


さらに、

 「先を読んだら、仕事がつまらなくなる」

発見、差異からの学びは思いもよらず得られるもの。これがあるから仕事は面白い。

 非効率が仕事の塩梅をよくする。

 ちょっとした回り道が、味わいとなって、料理をより深いものにするそうだ。「塩梅」という料理人特有の言い回しが絶妙だと思う。
 これは、日ごろの仕事にも言えること。非効率をあえてやることで、
 考える土壌を作り出し、結果、よいチームができていく。

 自分の都合も当てはめるよりも、彼らの発想方法を埋め込んで時代と併走する

同じ技術者として、こういった姿勢は共通なのである。



日ごろ、先の事ばかり見ようとして、効率を追い求めるのが、我々エンジニアの性であるが、回り道が力になるという事実も忘れてはいけない。



  • 雑談

・・・と、よかったことを書き並べてみましたが、すごく読み難い本でした。
一文一文の文体は丁寧で好感が持てるのだが、全体構成に流れが無い。
あまりおすすめはしません。
ただ、「言葉」の宝庫ではあったので、最後までがんばって読みました。
僕の感想文を参考に本を選んでくれたという話も聞きますので、正直に書いときます。