ハイエク〜知識社会の自由主義

ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書)

ハイエク 知識社会の自由主義 (PHP新書)

RSSリーダーのフィードを処理(読み飛ばす)スピードが日々向上しているのだが、その中でも、読み飛ばさずにじっくり楽しく読んでいるブログがいくつか残っている。その中の一つが、筆者のブログ。
議論を起こすようなハッキリした主張のエントリなども面白いし、経済関連の分野の解説エントリは知識が無いなりに、勉強の意味も含めてじっくり読むようにしている。
池田さんのブログで良く出てくる「ハイエク」。今の社会経済に関する動きを読み解く上で非常に合理的であるハイエクの理論について、エントリ毎にわかりやすい解説はあるものの、やっぱり一度はまとまったものを読みたいということで、本書を手にとってた。

大学の教科書(しかも一般教養科目で適当に受けた)では、ケインズ的な理論や、なんとなく説得力のありそうないろんな曲線を見ていた。ほとんど考えずにそれが経済学だと盲目的に思い込んでいる部分もあったと思う。
しかし、長い歴史の中でいくつもの政策とその結果が検証されているにも関わらず、何故失敗を続けるのか。研究が進んでいるように見える経済学も、実は非常に根源的なところで議論が行われている。社会学のような広い視点、人々の志向を説明し、導くために哲学的な部分にも思考が及ぶ。
経済を動かしているのは人であり、その時点での価値や目的は測りえるものでもない。現代社会で最も進化に必要な要素であるイノベーションは、そもそも想像を超越するから成り立つものである。
計画主義を否定し、本当の意味での「自由」を追求したハイエクの理論は、現代の理を説明する上で合理的だ。
重要なのは、放置して好き勝手にやることを許すのでなく、人々が最大限に行動できるように、人為的に阻害する要因を取り除くことである。

経済学者の議論を読み解く上では「自由」などの言葉の捉え方の違いもポイントだろう。普段何気なく使っている言葉に対する考えを深めることが、分析の第一歩になる。

歴史的背景や、論争の流れなども解り易く、普通に読んでいて面白かった。
混乱を極める経済の動きを冷静に見つめる上で、是非読んでおきたい一冊です。