ファシリテーショングラフィック勉強会

先日、参加したファシリテーションフォーラムで入門した「ファシリテーショングラフィック」(ファシグラ)
http://d.hatena.ne.jp/mnishikawa/20070527

6月のファシリテーション協会の関西定例会のテーマがファシグラということで、良い復習になると思い、参加してきました。
今回は、とにかく描く!という点では共通ですが、キーワード抽出や、多人数での演習など、新しいやり方を通して、また多くのテクニックを身につけることができました。

ここで、分科会の内容と、感想をまとめてみます。

自己紹介&グループ分け

この日の、ファシグラ分科会の参加者は40人ぐらい。
先ずは、グループ分けと、アイスブレイクを兼ねた自己紹介イベントです。
始めての参加と言うこともあり、緊張しました。

    • 3人一組になります。
    • 一人が自分の自己紹介、もう一人がヒアリングします。そして、残りの一人が、その会話の様子を、模造紙に書いていきます。
    • 役割を交代し、3人が自己紹介します。
    • これで、模造紙には3人の紹介文が書かれます。

紹介をする人、ヒアリングした人ではなく、書いた人が紹介するのがポイントです。ちょっと違った風に聞き取られていたり、書ききれない部分があったりして、会話を聞き取って書き取ることの難しさがわかりました。

    • 次に、近くにいる、別の3人組とくっついて、6人組を作ります。
    • 6人組ができたら、先ほどの模造紙に書いた紹介文を、書いた人が紹介します。
    • 6人分の紹介が終わったら、その6人組がこの日の演習のグループになります。

このグループ分けは、自己紹介を書き取るという演習でもあります。ファシグラの練習前の最初の成果物ということもあり、この日の勉強会終了後、上達具合を確かめる基準にもなりました。


あるあるキーワード

ファシグラは、会議や講演のお話のポイントを拾って、グラフィカルに表現する技術です。
言葉や、絵を使って描いていくわけですが、そのキーワード抽出はけっこうコツがあったり、個性が出たりします。

『何て書けばいい?』

ファシグラをやる上で、最初につまずきそうな悩みです。「あるあるキーワード」は、いろんな場面でのキーワード抽出を実際やってみて、グループ内の人の結果と見比べながら、みんなで考えて、そのスキルを磨く演習です。

  • ファシリテーション入門』(堀さんの著書)の一部が、1分30秒間、朗読されます。
  • 受講者は、A4の紙に、その朗読で見つけたキーワードをひたすら書き出していきます。
  • 見直しのために、朗読は2回行われます。
  • 終わった後、グループ内でお互いのキーワードを見比べ、気付きを話し合います。

短い時間の文章で、ポイントと思われる箇所を書き出していくだけですが、グループ内のほかの人と見比べると、書き出している量や、要約の仕方が違ったりして面白い。この時点で、図になってる人や、イラストを交えてる人も。
個人的に気付いたのは、同音異義語の捕らえ方が人によって違うことと、紙の使い方(タテ/ヨコ)が違うことが面白いなと思いました。

  • 「混沌編」と名づけられた次の演習。
  • 今度は、松本人志さんの、『大日本人』の製作記者会見の様子が、会場中央で再現されます。
  • その会見内容から、3つだけポイントを絞って、A4の紙に書き出します。
  • 終わった後、グループ内でお互いのキーワードを見比べ、気付きを話し合います。


松本人志さんの会見コメントは、非常に斬新で、想像力を書き立てる内容で、端的な言葉(キーワード)でポイントを説明するのが難しい内容でした。もちろん、グループ内での意見はバラエティにあるれるものになり、他の人の捕らえ方は勉強になりました。
コンセプトにフォーカスしたもの、話を3つに分割して説明したもの、3つのポイントの相関図を表現しビジュアルで理解させようとしたものなど。
私は、内容を「松本人志監督作品!」に集約しました。『松本人志』にはたくさんの意味がこめられてるので、それだけで強い説明要素になるかと考えました。あとは、印象に残ったワード「とにかくおもしろい作品を」「コンセプトは観て決めてくれ」をポイントとして挙げました。おもしろかったです。このテーマ設定は秀逸でした。


「あるあるキーワード」、
短時間でいろんな気付きを得ることができる、効果的な演習でした。


ファシグラ演習

最後の演習は、実際の打ち合わせの議事録をファシグラする実践編です。

  • 会場中央に、4名の旅行好きの方が集まり、今度行く旅行に関する会話が行われます。
  • 条件は「1人10万円、7/21〜7/22(1泊2日)」。ただし、結論を出すための打ち合わせではありません。
  • 壁に一人一枚の模造紙が張られています。そこに、打ち合わせの内容をファシグラしていきます。
  • ファシグラが終わったら、全員でいろんなファシグラを見て回ります。

後でわかったのですが、あえて話がまとまらないように進めていたそうです。行き先は国内に限らず、海外の提案もあったり、旅行でやりたいこととか、移動手段まで。短時間ですが、けっこう発散した内容でした。その分、構図の取りかた、出てきた意見の関連表現が難しかったです。僕もスペースはうまく活用できたような気がしますが、強調の仕方や、議論の領域わけなどでやり直したい箇所がたくさんありました。まだまだ修行ですね。

他の方のファシグラでは、すごい工夫がたくさんありました。

    • 日本地図を描き、意見として出てきた箇所を中心に議論を書き留める。
    • 中央に結論を書くスペースをとっておき、まとめを最後に記入
    • 話のフローを大きな矢印で表現
    • さいしょに大きなフレームを作って議論を分類記述する

今回の分科会のすばらしい点は、40人のファシグラを見れたことです。
ほんとに、参加者数分の流派があり、驚くような書き方、真似できそうなところがたくさん見つけられました。
ファシグラはとにかく描きまくることが重要だと思いますが、こうした、他の人のを見る機会も大切です。

ファシグラふりかえり

自己紹介をした3人組での「ファシグラふりかえり」です。

  • 3人で、ファシグラする人をローテーションしながら、次の3点について話し合いします。
    • 本日の感想
    • 発見したこと、マネしたいこと
    • 良かったこと、きっとこうしたほうが良かったこと
  • 3人組でつくった、「ファシグラふりかえり」が完成。
  • 他のチームのふりかえりも見て回ります。面白いポイントには、付箋でコメントを貼り付けてあげます。
  • 最後に、自分のチームのふりかえり模造紙のところに戻り、付箋コメントを確認。フィードバックから、さらに気付きをもらいます。

ふりかえりまでファシグラ!他の人のフィードバックをもらって共有できるのもうれしい。
ウチのチームでは、以下のような感想になりました。

    • 本日の感想
      • 座学だけではなく、実践できたのが◎
      • いろんな人のファシグラが見れた♪
      • とりあえずしんどい。。(肉体労働並)
    • 発見したこと、マネしたいこと
      • イラスト
      • 色使い(強調の仕方)
      • 描くスピード,時間の使い方
      • キーワードの拾い方(個性が出る)
      • レイアウト(描く前の構想、ポイントを書くスペースの確保)
    • 良かったこと、きっとこうしたほうが良かったこと
      • いい運動になった
      • キーワード抽出のテーマ選定が良かった
      • はじめての人と友達になった
      • ワーク毎の振り返り時間がもっと欲しい
      • PROCEYの割り振りが少ない。

懇親会にて

ファシリテーション協会のイベントは2回目ですが、とにかく驚かされるのが、「場作りのスムーズさ」です。もちろん、懇親会はすぐに良い雰囲気ができて楽しい!
初めての人がほとんどだったにも関わらず、いろんな人に絡みついてしまった。

面白かった話題が、「アートって何?」って話。もちろん、結論が出るわけはないのですが、人の考えや、言葉の深堀りが楽しめる、非常に熱いテーマです。この話題でも、「結論を出させない」ファシリテートが効果的。
僕は企業で仕事するうちに、何でも結論を求めてしまうクセがついてしまっていたようだ。結論を出させないという考え方は、分析材料をあえて与えず、場の可能性を引き出し、参加者に共感を与える。ファシリテーション、すごいです。


一日を通して、非常に多くの気付きを得ることができた、良いイベントでした。