ウェブ時代をゆく

何だか混沌として「もわ〜ん」としたものだったWebの世界のイメージは、『フューチャリスト宣言』を手にした瞬間、ピカッていう光と共に、どこまでも広がっていく明るいものに置き換わった。その強烈なまでのオプティミズムによって、読んだ人の未来の可能性を大きく広げたと思う。
ウェブ時代をゆく』では、その可能性ある世界を、どのようにどういったルートで走りきるかをより具体的に示している。

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

世界中の「知識」「情報」が、Webによって距離の壁を次々と取り払って飛び込んでくる。Web時代では、あらゆる分野・業種において、これまで体感したことの無いスピードで、ある程度のレベルに到達してしまう。誰でも知の高速道路を制限速度を気にせずに走ることができるのである。しかし、この高速道路は誰でも自由に走れるが故に、ある場所に到達すると渋滞が起こる。そこからさらに先に行くためには、渋滞を力強く抜けきるという強い意志か、車を降りて「けものみち」に抜け出す決意が必要になってくる。この強い意志、決意をもって、先に進むのは、その道で本当に好きなことに取り組んでいる人だけ。好きを貫いた者だけが、抜け出すことができるのだという。

この好きを貫くというのが、非常に難しい。先ず、自分の好きなものははっきり解らないことが多いと思う。例として、筆者は「ロールモデル思考法」により、その答えを求めてきたとふりかえっている。実際、いろんな分野で一流の人の生き方を分析し、自分ならどのように先に抜け出すかというのをシミュレーションする。この説明だけではイメージしにくかったのだが、これに関しては小野和俊さんのケーススタディで非常にうまく考察している。

自分が本当に好きなものは何か、どうやって好きを貫くか。
とにかく考え続けること。

Webは可能性を実現するにはこの上ない世界であるし、我々はそれを築きあげていく一人でもある。