約束
- 作者: 石田衣良
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/06/01
- メディア: 文庫
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石田衣良の短編集。
「傷つきやすくなった世界で」で、別の作品も読みたくなって手に取った。
この本は、ほんとじっくり読んだ。
雑音の電車で読んでいても、鳥肌立つぐらい文章に魅せられたのがわかる。
1本目の「約束」は、池田小学校の事件が題材である。
自己満足な鎮魂歌にすぎないかもしれないけど、理不尽な犯罪の被害者が、苦しみから立ち上がり、人生に帰ってくる。その過程をていねいに、しっかり書こう。そうすれば、あの悲惨なだけの事件から、なにごとかを救いだすことができるかもしれない。そうして「約束」はこんな形の作品になりました。(あとがきより)
あの事件の傷は決して消えることは無いが、この作品を通じて、真正面から向き合うことで我々の心に残るものもある。
こんなメッセージ性をこめた物語からものもあれば、日常の些細なことから感じられることをテーマにしたささやかなお話まで。あらゆる手で心を揺さぶられるのである。いわゆるべたなストーリーも、石田衣良が書くと新鮮な気持ちで読めるからすごい。
夏休みからしばらく、いろんな記事を書かせてもらう機会を頂いた代わりに、自分の拙い文章を直す作業に時間をとられて、こういった豊かな文章を読む時間を失っていた。まぁたまにはそんな状態も良いんだけど。
文庫本1冊で、文章の持つ力と読むことの楽しさが、どどっと一気に戻ってきた感じがします。
さ、次は何読もうかな。