3年で辞めた若者はどこへ行ったのか

昭和的価値観からのアウトサイダーを描いた本。
目次に挙げられた数々の昭和的価値観の危険性をあぶり出し、そして、それに立ち向かい、新しい時代を作っている若者達を取り上げる。

読み進める中で、自分の中に悶々と残る閉塞感と、その根源になっている昭和的価値観を思い知らされる。

日本のメディアに代表されるような、残存の価値観の上に成り立つ年功序列システムでなんとか逃げ切れそうな既得権者たちは、「格差社会」という言葉を使って犯人探しで目先を逸らそうとする。当然、こんなことでは社会は前に進まない。

では今、何をすべきか。逃げられない以上、前に進むしかない。それは改革を推進し、既得権を徹底的に打破することだ。構造改革の本質とは、新たな利益の再分配モデルを作り出すことであり、従来型のシステムで飯を食っていた人間から、そうでない階層へ利益をまわすことだ。そしてそれは、国債をばらまいて老人だけが逃げ延びることでも、中高年の正社員だけに安定した雇用を保障することでもない。各労働者が、正当な対価を受け取れるようにすること、そのために障害となる規制を取り払う点にある。  (p217より抜粋)


主なテーマは、前作、
若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来

でも一貫しているのだが、
本書で紹介されている事例を見ると、より考え、行動することの大切さが伝わってくる。

良い社会を作るために、もう一度、価値観の洗い直しを。
そして、行動に結びつけることを考えてみたい。