文章は接続詞で決まる
- 作者: 石黒圭
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/09/17
- メディア: 新書
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接続詞について、体系的に分析し、その切り口から文章の可能性を探った一冊。
接続詞は、書き手,読み手にとっての文書の論理を担う。
「そして」のような文を繋ぐもの、「だから」などの結果を期待させるものはその代表格である。「また、・・・・・ そして、・・・・」という使い方をすれば、文を収束に導くための矢印の役割を持つ。他にも、「第一に、・・・・・。第二に、・・・」のような、文章の構成を明示的に示せるものもある。
本書では、数多ある接続詞を「四種十類」の接続詞として分類している。(p60)
書き手は、接続詞のバリエーションと効果を知っていることで、文章を思い通りにコントロールできる。
さらに、読み手が想像もしていなかった発想を促すこともできる。
星はこれいじょう
近くはならない
それで 地球の草と男の子は
~~~~~~
いつも 背のびしている(岸田衿子「星はこれいじょう」)
読み手は、「星はこれいじょう近くはならない」という文章を読んで「おやっ?」と思います。
情景がうまく思いうかべられないからです。
つづいて、「それで」という接続詞が出てきます。
読み手は、「それで、どうするんだろう?」とわからないなりに想像を働かせます。そして、「地球の草と男の子はいつも背のびをしている」で、それまでもやもやしていたものが氷解します。「それで」によって示された詩人の発見を、読み手も追体験するのです。(p44〜p45の抜粋)
たった一つの接続詞「それで」が、読み手の体験、想像の広がりを創っているのがすごい。
接続詞は、文章の世界を無限に広げる可能性を持っている。
八章では、話し言葉で使われる接続詞にも注目している。
「〜なので〜」とか、「つまり〜」が連発するプレゼンはポイントがつかみ辛い。常に同じ接続詞で続けられる説明は非常に聞き取りにくいものになる。
逆に、接続詞だけを切り出して、論理性のある説明はとてもわかりやすい。
話の論理性を支配しているのは、接続詞と言っても良いだろう。
プレゼンの苦手な人は、「最初に」・・・「つまり」などの、テンプレートを持っておくと、自然と論理的な説明を進められるようになるだろう。
そう考えると、「いまから〜について3つお話します。」とかの論法がよく語られるのも納得できる。
タイトルの通り、接続詞を磨けば、文章力は確実にアップする。
文章の品位を上げるには、接続詞をしっかり見直せばよい。
接続詞についてシンプルにまとまった本書は、接続詞を使いこなすための入門書として最適である。また、本書自体がものすごく読みやすい。そう、接続詞が洗練されているからだ。お手本としても、手元に置いておきたい一冊だ。