アルコール除菌ポンプを手を触れずに噴霧できるようになるArduinoモジュールの製作(超音波センサー&機構設計改善版)
4月に作ったアルコール自動噴霧器を会社のフロアの入り口に置いて使ってもらっていましたが、緊急事態宣言解除後1ヶ月ぐらい運用していていくつかの課題が出てきました。今回、この課題を解決すべく、改良版をつくりましたので、ここに設計情報・ソースコード・回路図をまとめておきます。
目次
- 目次
- こんなふうに動きます
- 前回の自動噴霧器を運用してみてわかった課題と改善策
- 超音波センサー(HC-SR04)の利用
- アルコールポンプのボタンの加工
- 制御基板の制作
- 回路図・ソースコード
- 主要パーツ一覧
こんなふうに動きます
まずは、動作の様子のビデオです。
開発のポイントなんかも含まれています。
アルコール除菌ポンプを手を触れずに噴霧できるようになるArduinoモジュールの製作(超音波センサー&機構設計改善版)
前回の自動噴霧器を運用してみてわかった課題と改善策
4月に作ったアルコール自動噴霧器を会社のフロアの入り口に置いて使ってもらっていましたが、緊急事態宣言解除後1ヶ月ぐらい運用していていくつかの課題が出てきました。課題と改善ポイントは次の通りです。
- 暗いところで押しっぱなしの状態になって使えない
前回作ったものは、光センサー(CdS)に手がかざされて暗くなることを利用して動かしていました。この方式だと、部屋の電気を消したときに誰かが手をかざしたのと同じ状態になり、押しっぱなしになってしまいます。うちのオフィスは、お昼休みに電気を消す活動をしていたため、お昼休みは自動噴霧器が使えず、手動で運用されていました。これを解決するために、今回はセンサーを超音波センサー(HC-SR04)に変更し、暗いところでも使えるようにしました。
- ポンプのプッシュボタンを引っ張る紐の強度問題
前回作ったものは、ポンプのプッシュボタンを、サーボで引っ張ることで噴霧していました。
このボタンを引っ張るのに、柔らかい紐を使っていました。紐が柔らかいと長さ調整や結び直しがやりやすかったのですが、会社の入り口で出入りが激しいと、簡単に傷んで切れて使えなってしまうことが多くありました。また、いい感じに噴霧させるための長さ調整もコツが必要で結構難しいという悩みがありました。今回、紐の部分をステンレスの太めの針金に交換することで、強度アップさせています。
- アルコールを入れるときに分解・組み立てが大変
前回作ったものはプッシュポンプのボタンを引っ張る機構をポンプに縛り付けるような実装だったので、アルコール補充のときに毎回、噴霧器のパーツを取り外して、もう一度つけ直すという作業が必要でした。今回、100均で買ってきたカラビナを針金とボタンの固定部に挟むことで、簡単に取り外しができるようになりました。また、プッシュボタン部に直接穴をあけて固定することで、機構もシンプルになっています。
超音波センサー(HC-SR04)の利用
前回のCdS センサーは安価で制御が簡単だったのですが、暗い場所で使えないという欠点がありました。また、部屋の明るさに応じて感度の設定を変える必要もありました。課題を解決すべく、距離によって判定できる超音波センサーを使うことにしました。
アルコール除菌ポンプの吹出口の下あたりに近づいた手までの距離を超音波で検知すれば、部屋の明るさに関係なく検知ができます。
超音波センサー(HC-SR04)はAmazonでも安価に買うことができ、Arduinoでの利用実績もあります。HC-SR04は次の4ピンで制御することができますので、それぞれArduinoに接続するよう設計します。
超音波センサー(HC-SR04) | Arduino |
Vcc | VCCに接続 |
Trig | GPIO2(OUTPUT) |
Echo | GPIO3(INPUT) |
Gnd | GNDに接続 |
制御基板からはこれら制御ピンのコネクタを出しておき、センサーからケーブルで接続します。 Arduinoとの接続回路図、制御用ソースコードはgithubを御覧ください。
アルコールポンプのボタンの加工
アルコール除菌ポンプのプッシュボタンは、中央をまっすぐ押すと2~3kgぐらいの力でプッシュできます。少しでも力の方向がずれると、斜めに力がかかってしまい、うまくプッシュができません。今回は下からサーボで引っ張るので、プッシュボタンのできるだけ中央に近い場所に裏側から穴を開けました。(ど真ん中は液体が通過する穴なので、中央に開けたら使えなくなります。)
穴が空いたら、金属製クリップを加工した針金で、引っ張る針金を接続するための金具を結んでいます。金具は、絵とか写真を飾る額縁の固定金具を使いました。これも100均で6個セットで売ってました。
今回使用したサーボは大型ラジコン用のものなので、多少ずれても下から引っ張れるという利点を活かし、簡単な加工で済ませることができました。
あとは、ポンプが収まる古いタッパーにサーボを固定し、この金具を引張るように加工します。
また、サーボヘッドと金具の接続には0.9mmの太さのステンレス針金(100均で購入)を使いました。前回作ったものは、柔らかい糸を束ねたような紐を使っていましたが、1ヶ月もしないうちに伸びたり切れたりして、壊れやすい原因になっていましたので、ここを強化しています。
また、金具とサーボから出るステンレス針金の間に、カラビナ(100均で2個100円)を使いました。これにより、すぐに取り外せることができ、アルコールの補充も簡単になります。
制御基板の制作
センサーから距離を読み取り、サーボを動作させる制御基板は、前回と同じくArduinoで行いました。(基本的な基板の設計・実装は前回の記事を御覧ください。)基板から各センサー・サーボ、電源に接続するために、コネクタを作っています。
今回は以下のように実装しています。
自分のメモ程度ではありますが、コネクタ配置の参考に。
回路図・ソースコード
回路図とArduinoソースコードはgithubに記載しています。
組み上がった制御ボックスはこちら。
噴霧回数とセンサーの設定値(センサーからの距離(cm))をLCDに表示しており、センサーの設定値は、ボックス上部についたボリューム可変抵抗から変更・設定することができます。
その他・センサー設置の方法
アルコール噴霧器の吹出口のところにかざした手に超音波センサーが反応できるように、センサーをスマホ固定用のグニャグニャ曲がるホルダーを使ってます。これも100均で買いました。位置決めも自由にでき、今回の装置にピッタリの商品でしたのでご紹介しておきます。
職場に設置した様子。
主要パーツ一覧
最後に、今回の製作に使った主要パーツをリストアップしておきます。
- Arduino pro mini互換品
- キャラクタ液晶
- 超音波センサー
- ボリューム型可変抵抗
- トグルスイッチ
- 抵抗
- ユニバーサル基板
- ケース