黒いスイス
この本読む前はスイスのことを何も知らず、
「観光地」
「永世中立国」
「お金持ちになったらスイスに口座を持たなきゃね」
ぐらいのイメージの国でした。
- 作者: 福原直樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/03/01
- メディア: 新書
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《黒いスイス》
永世中立国で世界有数の治安のよさ。米国などを抜き、常に「住んでみたい国」の上位に名を連ねる国、スイス。しかしその実態は―。「優生学」的立場からロマ族を殲滅しようと画策、映画“サウンド・オブ・ミュージック”とは裏腹にユダヤ人難民をナチスに追い返していた過去、永世中立の名の下に核配備計画が進行、“銀行の国”でまかり通るマネーロンダリング…。独自の視点と取材で次々と驚くべき真相を明かす。
「スイスってそんなに腹黒いのか?」とか期待して手を出しました。
ちょっと煽りすぎだな。
読んでみると、ネガティブなイメージよりもむしろ、スイスのすごさがみえてきた。
この本は、「黒い」部分を中心に、スイスという国家の成り立ちを、それぞれの当事者へのインタビューを交えながら考察していく。
ナチスから逃れてきた難民を追い返したり、一部の人たちに対して、スイスは非人道的な所業を行ってきた事実も多数ある。相互監視が常識の国民性なんかは日本人は耐えられないだろう。最近までは、マネーロンダリングの温床としても知られる。
しかし、スイスは実績として『国益』を守り通してる。
全体を通して、『国益と人道は一致しない』という一文が印象的だった。
紹介されている「黒い」部分は、すべて国益の観点で生じてしまった事実である。『人道』を中途半端にじっくり考えてたら、スイスはスイスでなくなっていただろう。
歴史的な流れだけを見るのではなく、その隠された裏側も分析してみると、非常に納得できる。鋭い視点、考える機会を与えてくれました。
日本における「国益」とは?うーむ。
本としては若干偏った内容で、基本的な説明は少ない。
僕のように基礎知識のなかった人は、簡単に調べてから読むと面白い。
※スイスを知るにはWikipediaがわかりやすい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9