黒いスイス

この本読む前はスイスのことを何も知らず、
「観光地」
永世中立国
「お金持ちになったらスイスに口座を持たなきゃね」
ぐらいのイメージの国でした。

黒いスイス (新潮新書)

黒いスイス (新潮新書)

《黒いスイス》

そのインパクトあるタイトルと、
Amazonの解説

永世中立国で世界有数の治安のよさ。米国などを抜き、常に「住んでみたい国」の上位に名を連ねる国、スイス。しかしその実態は―。「優生学」的立場からロマ族を殲滅しようと画策、映画“サウンド・オブ・ミュージック”とは裏腹にユダヤ人難民をナチスに追い返していた過去、永世中立の名の下に核配備計画が進行、“銀行の国”でまかり通るマネーロンダリング…。独自の視点と取材で次々と驚くべき真相を明かす。

「スイスってそんなに腹黒いのか?」とか期待して手を出しました。


ちょっと煽りすぎだな。

読んでみると、ネガティブなイメージよりもむしろ、スイスのすごさがみえてきた。

この本は、「黒い」部分を中心に、スイスという国家の成り立ちを、それぞれの当事者へのインタビューを交えながら考察していく。
ナチスから逃れてきた難民を追い返したり、一部の人たちに対して、スイスは非人道的な所業を行ってきた事実も多数ある。相互監視が常識の国民性なんかは日本人は耐えられないだろう。最近までは、マネーロンダリングの温床としても知られる。

しかし、スイスは実績として『国益』を守り通してる。

全体を通して、『国益と人道は一致しない』という一文が印象的だった。
紹介されている「黒い」部分は、すべて国益の観点で生じてしまった事実である。『人道』を中途半端にじっくり考えてたら、スイスはスイスでなくなっていただろう。
歴史的な流れだけを見るのではなく、その隠された裏側も分析してみると、非常に納得できる。鋭い視点、考える機会を与えてくれました。
日本における「国益」とは?うーむ。

本としては若干偏った内容で、基本的な説明は少ない。
僕のように基礎知識のなかった人は、簡単に調べてから読むと面白い。

※スイスを知るにはWikipediaがわかりやすい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9