「法令遵守」が日本を滅ぼす

コンプライアンス・ブームと、それを煽るような報道には、もういい加減、嫌気がさしていたので手に取った本。

「法令遵守」が日本を滅ぼす (新潮新書)

「法令遵守」が日本を滅ぼす (新潮新書)

『「法令遵守」が日本を滅ぼす』

コンプライアンスとは、「(要求・命令などに)従うこと、応じること」を意味する言葉(Wikipediaより)だが、本書で述べているコンプライアンスは、もっと本質的・根本的な解釈をしている。

コンプライアンス法令遵守」は必ずしも成り立たない。

そもそも「法令」は、企業活動が「社会の要請に応える」ことを円滑にすすめるために置かれたものであり、法令が実際の経済活動と大きく乖離している日本社会においては、解釈が変わってくるということ。
つまり、日本における本当の意味でのコンプライアンスは、「社会の要請に応える」という意味で解釈しなければならない。

単に、法令を振りかざし機械的に従っているいるだけでは、企業活動の本質を完全に見失っている。企業は「社会の要請に応える」ことを目的とした方針を持ち、状況に応じて変化を続けなければならない。そういった真のコンプライアンスを「フルセット・コンプライアンス」として、原則を掲げている。

コンプライアンスを旗印に、機械的に処理して安心しきっているような事例に覚えがあれば、企業活動の本質を見失っている可能性がある。そういったことに気づき、違和感を感じた人は、フルセット・コンプライアンスを提言してほしい。


前半は「法令遵守」にのみ傾倒したときの弊害を、実例を挙げながら紹介している。
順に、日本における「法令」と実際の経済活動の大きな乖離の問題点を挙げ、「フルセット・コンプライアンス論」を、その解決策として具体的に例示している。
筆者が声を大きくして述べたいことがハッキリしており、わかりやすい言葉で、うまくまとまっている。
私が感じていた「コンプライアンス・ブーム」の違和感を解きほぐし、どう向き合っていくかを示してくれた。

同じように感じていたという人には、是非、ご一読をおススメしたいと思います。