無趣味のすすめ
- 作者: 村上龍
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/03/26
- メディア: 単行本
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筆者の名前と興味深いタイトルにつられて、ネットで何気なく買った。
家に届いてパラパラとめくった瞬間、「損した!」と思うぐらいスペースをふんだんにつかった、無駄に豪華な本だ。店頭で見ていたら絶対に買わなかっただろう。
しかし、元を取ろうと思い、じっくり読んでみると、実に明快で充実した内容だった。
最初の「目次」には、世間で飛び交っているキーワードが、ゆとりのある縦書きで、整然と並んでいる。
たとえば、
- グローバリズムは思想ではない
- オーラの正体
- ビジネスと読書
- 品格と美学について
- リーダーの役割
- スケジュール管理
- モチベーションと希望
- ワークライフバランス
- ビジネスにおける文章
- 語学の必要性
など。
書店でこの本を見かけた方は、まずこの目次を一通り眺めてほしい。
私は、日ごろからメディアが好んで使う(特にマスコミが良く使う)これらのキーワードに違和感を感じていて、ほとんどは議論するのも面倒でほとんど無視している。
それらに共通しているとすれば、「思考停止」に導くということだろうか。
本書は、そういったキーワードを村上龍が斬っていくエッセイ集。
(オビには「箴言集」と書いてある。)
短い文章の中にも、はっと思う切れ味の良い言葉もたくさん見つかり、
面倒くさがって議論さえもしなかったテーマも、考えるきっかけにもなった。
「カンブリア宮殿」とか、テレビで観ていると、見た目で濃い印象を持っていた。しかし、実はゲストとのやり取りから察するに、純粋にゲストの話を興味深く話を聴いていることが多いように思う。本書では、そこから得たものも挙げられてる。さらに面白いのは、世の中の問題や課題に対して、「アドバイス」をしていないということ。
村上龍が読み取ったこと、考えたことを、とにかく正確に綴り、読者に伝えている。
読む人に、自分の在る状況を確認させ、考えてもらうことを強く感じる。
「目次」の一覧で、悶々としたキーワードが見つかった方は、一つの言葉の読み方としてみてみると面白いかもしれない。