ノルウェイの森

Kindle3を買ったので、PDF化しやすそうな文庫本から読んでみようと思い、この本を選びました。最近でも映画化とかで話題になってたのもあるし、まだ手を出してなかった「1Q84」を読む前に、ゆっくり読んでおきたいと思ったからです。

ノルウェイの森 (上) (講談社文庫)

ノルウェイの森 (上) (講談社文庫)

「死は生の対極にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいるのだ」
(下巻p.226

思ったより身近にある「死」について考えさせられる。生きる動機は驚くほど不安定なものの上に成り立っていることを改めて思い知らされる。

私たちは(私たちというのは正常な人と正常ならざる人をひっくるめた総称です)不完全な世界に住んでいる不完全な人間なのです。定規で長さを測ったり分度器で角度を測ったりして銀行預金みたいにコチコチと生きているわけではないのです。
(下巻p.219)

生きる動機もまた不安定なものなのだが、作品中露骨に描かれた「性」への向き合い方がそれを焙り出しているのだろうか。
自分とはまったく違うの世界の話、他人の話を読んでいるはずなのに、妙なリアリティを感じさせる。
終わりのページなんかゾクッとした。

ノルウェイの森 (下) (講談社文庫)

ノルウェイの森 (下) (講談社文庫)