株式会社という病

株式会社という病 (NTT出版ライブラリーレゾナント)

株式会社という病 (NTT出版ライブラリーレゾナント)

株式会社とそれを構成する人、そして社会を大局的にとらえた論説。
「病」は人が成長し生きていく中で常に内在する。会社というシステムも、それが存続・成長していく過程、社会変化の中での病を抱えるのである。
そもそも会社とは何か、今何が起こっているのかを見つめるのに必要な経済学の基礎と、日本における倫理の変化が丁寧に、順を追ってまとめられています。

資本と経営の分離という発明が、経営者や株主の利益を無限大に伸ばし、アイデアから事業として形になるスピードを飛躍的に高め、経済成長を担うシステムの中核をなしてきた。株式会社の広がりとともに、それに関わる人の生活の中でも基盤となる。日本においても、株式会社と、そこに生きる糧を見出した人々により高度発展が支えられてきた。

  • 互報酬的な人間関係
  • 運命共同体としての「お家」に対する忠誠と信仰
  • 右肩上がりの経済成長

これらが三位一体でバランスして会社システムを成り立たせていたのである。
しかし、近年は倫理の歯止めを乗り越え、より効率的に利益を追求することを許容し始めた。実体経済を大きく上回る金融市場。そして、それを認めてしまう市場原理主義の浸透。
三位一体のバランスは崩れ去っている。

まずはこの現状を把握しないと、病は進行する一方である。

  • 会社とは何か
  • 株式会社のシステムが根本的に持つ病

まずは、このことについて考えてみる必要がある。


資本と経営の利益の最大化という思想で最適化された株式会社。そこに社会のシステムを見出すわれわれは、病の内在を自覚する必要がある。
また、「病」は危険に対応するためのアラームとも言える。それを乗り越えることでバランスを保ち、生存活動を続ける。社会を生きるということは、病とうまく付き合うこと。必要なのは自分を知るための知識である。