読書進化論

勝間和代さんの名前は、Amazonランキングで目に付いたので気になってはいたんだけど、「10倍なんとか仕事術」とか、なんだかハズレ感漂うタイトル(私の勝手な印象)でこれまで敬遠してました。
ただ、単発のヒットで終わらず、その後の本も売れ続けてるので、勝間さんの本は一度は読んでみたいと思ってました。
このタイトルなら面白そうということで、買ってみたのが「読書進化論」。

本を読むことの効果や可能性について、とても上手くまとめられてると思います。
私もWeb中毒でありながら、本は習慣として読んでいて、自己形成の重要な部分を占めている。でも、そのメリットをちゃんと分析したことはありませんでした。この「読書進化論」では、そんな、なんとなく感じてたことを、とても解り易く解説してくれいる。本をあまり読まない人に、何で本を読んでるのかを勧めるには、「読書進化論」を読んでもらうのが一番手っ取り早そうです。

フレームワークの無い読書は身に付きにくい

アジェンダの無い会議と一緒。
読書にあたっては、テーマを明確にしよう。

要はやったか、やらなかったかの差

などのフレーズは押さえておきたい。


さらに、読むことだけにフォーカスせず、書き手への発展、さらには売る方法にまで言及している。特に、「本を売る」ことにハッキリと目標を置いて、ここまで考え、そして行動している書き手は見たことがない。

「書く努力の5倍、売る努力をする」

は、それを象徴する言葉だろう。
このフレーズだけ抜き出すと、肝心の内容が心配になりそうだが、本を書く上で内容は最低限必要なものであるとして、今の出版業界は売る方がおろそかになりすぎだ。実際、良い本が必ず売れているかというと、残念ながら必ずしもそうではない。本もお客様に提供する商品である。一つのプロダクトとして、マーケティングまでしっかりと設計しないといけないはずだ。私も少しは本を書く機会もあるので、こういった点はすごく参考になった。

とにかく、一冊を通して伝えるテーマがハッキリしているし、わかりやすい。
勝間さんの本が売れてる理由はすごくわかる。

しかし一方で、「本を売ること」の印象が強すぎたのか、読み手が自分の本業を忘れて「本を売ること」に目的意識を持っていかれることを心配してしまったのは私だけだろうか。作家ならともかく、自分の本来目指すところの手段でしかない書籍執筆は、それを目的にはしてはいけない。本書では、これまでの勝間さんの本を読んだ人の体験談(mixiコミュニティの書き込みなど)が、筆者の主張(本を読むことの効果)の裏づけとして紹介されている。「勝間さんの本を読んだらこんなすばらしい事がありました!」などの極端な例が、そういった心配をさせてしまう原因だろうか。
まぁでも、そんな心配をしてしまうぐらい、メッセージはハッキリしているし、ポイントが頭に入ってくる。
得るものも多かった。

やはり、人一倍本を読みまくって、人一倍本を売っている筆者の体験を短時間で読み取ることができるのはすばらしい。
本書で紹介されていた参考文献なんかは、今後、是非読んでみたい。


「読書」の意義と、その先を見つめなおすために。
おすすめの一冊です。