未来のエースを育てる若手育成術

タイトルは「未来のエースを育てる若手育成術」
日経コンピュータでも連載している、グローバルナレッジネットワークの田中淳子さんのお話。

OJTという名の放置など、日ごろのプロジェクト運営以上に感覚的に行われている印象のある人材育成ですが、
その道のエキスパートである田中さんのお話は非常に気づかされることが多かったです。

ポイント
  • 「おせっかい」してもらう仕組みづくり
  • マネージャがやるのは入り口,プロセス,ふりかえりの場の提供
  • 「ほめる」ポイントの境界はプラスマイナス・ゼロから。
  • ダメなことはダメという。(「I」の視点で叱る。)
  • 新人はベテランの体験談を聞いてみたい。


それほど難しいことはなく、ちょっとした気の向け方で大きな効果のありそうなコツがほとんどで、明日からでも取り組めそうな内容です。
来年の新人育成でもぜひやってみたい内容ばかりでした。


以下、講義メモです。

若手育成の課題

  • 誰かに育ててほしいが、自分じゃない。
  • 使えるやつを配属してくれ
  • 自分でやったほうが早い

 :

人に教えるということは、

  • 自分と向き合うことになる
  • 「なぜならば」を考えることで、自分の考えや気持ち、思いを整理しなおせる。

人育ては、自分育て

自分が育った過程をふりかえる

自分のこれまでの経験をふりかえり、整理してみると、けっこういろんなことを教えられていることに気づく。

誰に
いつ
何を
どのように

たな卸しをしてみて、大切だと思うことは伝えていくべき。


みんなでよってたかって育てる

「昔は育ててくれなかった」というけど、実は環境の違いも大きい。
昔はアナログが多かったので、良い意味での「おせっかい」できていた。
良い「おせっかい」を引き出すために、ちょっとした工夫をしてみる。

電子メール禁止令

新人に、必ずFaceToFaceで依頼することを実践させる。(メール禁止)
顔をおぼえてもらい、プラスの「おせっかい」がおきる。

ホウレンソウの背中

今はホウレンソウを見るチャンスがない。
その部下に直接関係ない仕事の報告にも、
育成者がホウレンソウするときについてこさせる。
見るに勝る教育はない。

「オレに預けろ」

先輩の営業についていると、教育にならない。
ある時、取引先の方が「新人だけに来させろ」という提案をいただいた。
もちろん、先輩と相手先との支援はあるが、短期間で成長することができた。

日経コンピュータ2008年11月1日号に詳しい話が載っていますので、是非ご覧ください。

マネージャにできること

入り口

目的を伝える、動機付け
「何のために」がやる気を刺激する。
「とりあえずやっておいて」がいちばんがっかりする。
その仕事が何のためかを言うと、ぜんぜんやる気が違う

  • 全体像を伝える。

部分だけを伝えると、目的意識を持ちにくい
全体像を説明しておくと、目的意識が伝わりやすい。

プロセス

気に書け、声をかける

ふりかえる

気づきの整理,フィードバック

  • ふりかえりでしゃべり過ぎない。「何か気づいた?」ちょっとしたことから聞いてみる。
  • よい点と改善点の両方を伝える。
ほめるポイント

±0以上を、すべてほめる対象にしてみる。
当たり前のことも、口に出してほめる。
できたことでも言っておくと、それが劣化することがない。
自分にとってあたりまえと思うことでも言ってみる。

ダメなものはダメと言う
  • しかる・注意するには勇気がいる。
  • 「I」を主語にすると、具体的で、相手に響く
  • 相手のためになるものは、指摘すべき。

教えるvsコーチングのバランス

相手の成熟度,物事の緊急度、2つの軸で使い分ける。

まとめ

「啐啄同時」

雛が殻を中からつつくのと、親鳥が殻を外からつつくこと
両方ないとだめ。
上司だけの力ではない。

  • 部下の後輩の育つポイントを見逃さず、チャンスを与える。
  • 成長のあとおしをする。
若手育成のコツ
  • 非公式の育成もある。
    • たとえば、タバコ部屋で漏れ聞く話
  • 体験談は意外とひびく
    • 今は、話す機会自体が少ないのではないか。
言い方を変えてみる。

「これをやってください」
  ↓言い方をかえる
「これが全体像です。この中でこの部分を担当してください。」

問いかけ

私たちにできることはありますか?
まだ手がけていないことは?
明日やることは?