トヨタの闇
自動車売り上げ世界一の達成が見込まれ、その営業利益は2兆円に上る。「カイゼン」に代表される企業文化も世界中で規範とされる。まさに世界の大企業「トヨタ」。
- 作者: 渡邉正裕,林克明
- 出版社/メーカー: ビジネス社
- 発売日: 2007/11/07
- メディア: 単行本
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トヨタを賞賛する本とか記事は山ほどあるなかで、トヨタの問題点・課題を正面から生々しく取り上げた本。単なるアンチトヨタな表面的な批判ではない。過労死訴訟にみる過酷な現場の状況や職場・会社の対応、会社ぐるみで機能しない組合体制、偽装請負など、利益を追求する影に生じる、まさに「闇」の部分が克明に描かれる。
実はこれらの「闇」は、トヨタ以外の日本の大企業も同じように抱えている問題でもあったりする。個人的には他人事では読めない内容で、煽るような書き方にイラッとしてしまう部分もあった。しかし、事実であることは確か。
ひたすら「闇」をとりあげているわけですが、問題のに立ち向かっている人たちは、トヨタを陥れようとしたり、トヨタを見放したりしてるわけではない。問題を解決し、自分たちの会社・トヨタを良い会社にしたいのである。
企業の活動は、そこに勤める人たちの社会において大きな意味を示す。企業が大きくなればなるほど、闇はみえにくくなる。こういった客観的な視点を真摯に受け止め、より良くしていくことも、忘れてはいけないカイゼンなのだろう。
トヨタが変われば日本も変わる。
という、勝手な感想とはよそに、所々見られる偏った文章はどうしても気になる。リコールデータの分析をはじめとする裏づけの甘さも感じる。煽る感じのオビもあわせて、品位を下げてるのが残念。