質問会議

質問会議 なぜ質問だけの会議で生産性が上がるのか?

質問会議 なぜ質問だけの会議で生産性が上がるのか?

していいのは質問のみ。
自発的発言はしない。

そんな不思議なルールで進められるのが「質問会議」である。
しかも、一般的な発言型会議ではなかなか得ることが難しかった、様々な効果が得ることができるというのだから、思わず耳を疑ってしまう。

しかし、本書を読み進めるとその謎が順に明らかになっていく。
質問会議とは、非常に洗練された会議のフレームワークと、その仕組みから自然と行われるファシリテーションの技術体系と言える。

その概要は、以下のようなものだ。

【ステップ1】
 基本ルール(質問中心,振り返りの時間設定)の提示と確認
【ステップ2】
 チーム規範の設定
【ステップ3】
 問題の提示
【ステップ4】
 質問で問題を明確にする
【ステップ5】
 途中での振り返り=新しい視点でのアプローチ
【ステップ6】
 問題の再定義
【ステップ7】
 同意できないことの意味
【ステップ8】
 問題がテーブルの真ん中に
【ステップ9】
 目標・ゴールの設定
【ステップ10】
 行動計画の作成
【ステップ11】
 全員の行動=サポートの誘発
【ステップ12】
 振り返り

最初に行うのはグランドルールの設定であるし、質問に限定することで、メンバー全員の意見出しを誘発できる。また、「ふりかえり」でゴールを的確に設定することができる。さらに、最終的には「アクション」も伴う。同意形成も非常に時間がかかるが、質問のすり合わせにより、ある程度議論したうえでの合意が得られる。
通常、一つの会議で、何も無い状態でここまで組み立てるのは大変である。
あらゆる会議を活性化させ、ゴールに導くためのファシリテーションスキルを一通り身につけるには、かなりの引き出し(テクニック)と、経験が必要だ。
しかし、会議の形式自体をこのように提案してみることで、自然と良い成果がえられる。「質問会議」は、非常に優れたツールの一つと言えるのかも知れない。


この根底には「アクション・ラーニング」という技術体系がある。
これも非常に興味深い。

アクション・ラーニングは、
「行動から学ぶ、学びから行動する」
ということで、チームで現実の問題を解決する中で、個人とチーム、組織を開発する、問題解決とチーム学習の手法。
 (略)
その根源は、哲学者ジョン・デューイ
「あらゆる純粋な教育は、経験を通じて得られる。」
という主張を具現化したもの。

とある。

かならず行動に結び付けてそのフィードバックで駆動するというのは、非常に実践的で適応範囲の広い考え方だ。

チームをマネジメントする方法は持っているか?

本書の冒頭での問いかけだが、これに明確に答えられるプロジェクトは、実は少ないのではないかと思う。
マネジメントの一つのフレームワークとして、「質問会議」というのは非常に有効なフレームワークだと思う。


本書では、こういった質問会議の有効性を十分に読み取る事ができたのだが、やはり、一度体験してみたい。
身の回りでは、まだまだアクションラーニングの話を聞く機会が少ないのだが、何か機会があれば是非勉強してみたいと思う。