科学理論ハンドブック50<物理・化学編>

ニュートン力学から相対性理論まで50ページ、ここから量子論を経て超ひも理論までが130ページで綴られる。「ハンドブック」のタイトルが示すように、物理・化学界を大きく発展させた主要な理論について、規定ページでまとめきった一冊。
もちろん、こんな知識形成の歴史が新書1冊に収まるはずが無いのだが、それもそのはず、この本には数式の一つも出てこない。
かといって、子供向けとも思えない。
解説で当たり前のように使われている言葉がほとんど砕かれていない(そのうえ、突然飛躍したりする。)ので、見た目の割にはスムーズに読めるものでもない。
序盤は狙いどころがわからず、「なんだこれ?」と思ったぐらいだ。


しかし、読み進めると、本書の構成からその役割がわかってきた。
それぞれの理論について、次の3項目にバッサリまとめて紹介しきっている。

  • 理論の解説
    • かわいいイラストと、カラフルな図をふんだんに使って、理論の説明する。
  • 理論が生み出された背景
    • どういった経緯(背景)で、どうった場面で理論を確立したか。その理論にまつわるお話。
  • 理論の発展
    • その理論が他の理論にどのように影響を与えたのか。また、日常のどんな場面で応用されているのかの具体的な事例。


要するに、論理的な理解を求めず、科学ジャーナリズムに徹しているのである。

あと、読み進めていくと、物理編の後半(統一理論へ)に行くにしたがって、テンポがよくなっていく気がした。(書いてる人はだんだん楽しくなってきたんじゃないかな。なんとなく。)

おそらく、科学者はそんなまとめ方はしないだろうから、独自のポジションの本なのかもしれない。
量子論とか良く聴くけど、どういうもんなの?」とか言う人が「ふーん」ってレベルで知ってみたいということなら、お手軽な一冊だと思います。

ちなみに、続編は<宇宙・地球・生物編>です。