現代語版 学問のすすめ
- 作者: 福澤諭吉,斎藤孝
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/02/09
- メディア: 新書
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「学問のすすめ」というタイトルを知らない人はいないだろう。
しかし、読んだことのある人は少ないのではないだろうか。
私もその一人。
文学史に出てくるような難そうだし、当時の文語体は軽い気持ちで読むには敷居が高く、「現代語版」の本書を見かけるまでは読むつもりも無かった。
しかし、想像していたよりもずっとわかりやすく、闊達な内容に驚いた。
なぜ学問が必要なのか。
ここに書かれているのは、明治でも現代でも、ずっと変わらない原則だからだ。
『学問のすすめ』が勧める「学問」とは何か。それは、空理空論ではなく、社会の役に立つ、実用的な学問です。そして、学問をすることで自分の意識がはっきりし、経済がうまく回り、幸せな生き方ができると福澤は言っています。(p.231)
当時は鎖国から開けて、急激に進んだ考え方や文化が流れ込んできた時代。
封建社会で染み付いた、人々の古い考え方をバッサリ切り捨て、後進国である日本は、とにかく学ぶべきだ!という明確なビジョンを示している。
本書から感じるのは、福澤諭吉の、非常に強い「危機感」と、今でも十分通用するグローバルなビジョンだ。この時代にこれだけはっきりしたメッセージを伝えていたことにも感動するが、ふと我々自身に視点を戻すと、考えさせられる点は多い。
保護と指図は、究極的には同じもの。必ず一致していなければならない。
(p.185)
この基準を明確に示せる人が少ない。
「個」と「公」のつながりは、最近混乱しているように思うが、福澤のメッセージがヒントになるかもしれない。